Double Fantasy 2024.5.23 五反田文化センター音楽ホール
日本クロアチア音楽協会10周年ガラコンサート第2弾に招んでいただきました。
先ずは主宰の安達朋博さん、創立10周年おめでとうございます㊗️
タイトルにあるようにクロアチア音楽特集なのですが、今回はコンサートの後半を任され、前半はバイオリン、フルート、ピアノソロとさまざまな楽器で優秀な音楽家たちによりクロアチアの音楽が展開されますが、後半も1曲は含めることとその命を受けました。
クロアチア作品と言えば、これまで何度か演奏してきたものとして、女流ドラ・ペヤチェヴィチの《花の一生》という8曲のツィクルスがあります。
再びこれを聴きたいという声もありましたが、8曲すべて演奏するとコンサートの後半の中で占める割合が大きくなり、思うような選曲ができないということでその中から第7曲《ゆり》のみを演奏いたします。
フランツ・シューベルト さすらい人幻想曲
ドラ・ペヤチェヴィチ ゆり 花の一生より
フランツ・リスト ダンテを読んで ソナタ風幻想曲 巡礼の年第2年イタリアより
2人のフランツの幻想曲、つまりダブルファンタジーです。
真ん中に花を挟みました。時代もスタイルも異なる女流の小品をどうプログラミングするか?という問いに悩んだ末に辿り着いた結論です。
これらソナタ風幻想曲(Fantasia quasi Sonata)の前身とも言えるベートーヴェンのかの有名な月光ソナタ(作曲家自身の付けたタイトルは幻想曲風ソナタ Sonata quasi una Fantasia)の短い第2楽章を、リストが「2つの深淵の間の一輪の花」に例えたことから、閃いたのです。
ダンテの描いた地獄はもちろん、常に死を意識していたシューベルトの暗鬱なさすらい人のテーマ(月光と同じ調性cis moll)もまさに深淵。
そしてさらに(!)一輪の花に選んだゆりは第2楽章と同じ調性As dur、というだけでなく巡礼の年第2年イタリアのツィクルスでは、ペトラルカのソネット123番もAs durで、本来その後に続けて演奏されるべき終曲ダンテのd mollとの関係、Toritonus (三全音)=Diabolus in musica(音楽の悪魔)をここで作り出すことでスタイルの交差を少しでもスムーズに聴かせる狙いがあります。
そしてなによりこのシューベルトのさすらい人幻想曲はリストが技術的簡易版を発表するほどの、ベートーヴェンの難しさとは一線を画した、元祖ヴィルトゥオーソ(超絶技巧)作品なのです。
シューベルト自身が『悪魔にでも弾かせておけばいい!』と言い放ったといいます。
その悪魔、ルシファーやメフィストフェレスを好んで音楽で表現したリストは、さすらい人幻想曲の切れ目のないソナタ楽章という新機軸のコンセプトを、ダンテを読んで、傑作h mollソナタでさらに推し進めて音楽の可能性を開拓しました。
ちなみにリストはさすらい人幻想曲をさらにオーケストラとのコンチェルトにも書き換えています。
お話をいただいて、これらを構想して本番まで準備期間2ヶ月、チャレンジングな
時間いっぱい、内容いっぱい、運動量いっぱいのはち切れそうなプログラムです笑
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