師ボリス・ペトルシャンスキーの至芸に触れる数日間

ステージ前のピリピリした緊張感から開放され一安心のマエストロを、イモラ音楽院の後輩の鈴木弘尚君と囲んで。
果たして古希を迎えたピアニストで、ステージ上で精神肉体ともにあれだけのエネルギーの横溢を見せる人は他にいるだろうか。師の健在を喜ぶとともに、時の流れに想いを致す数日でした。
2つの全く異なるプログラムの、1つは連弾を含むリサイタルに、日本の若い世代へのレッスン。

プログラムに添えられた、彼自身の語る生い立ちから芸術に対するビジョンは私の知らないことも書かれていて興味深いものでした。
『ナウモフ教授は、鮮やかで詩的な魔法の世界へと導きました。私は彼のもとで、まるでロケットが宇宙へ飛び立つ様に一瞬のうちに飛躍したのでした。〜中略〜 親しい交流は40年間続きました。』
彼の演奏家としての飽くなき原動力は、まさに偉大な師に恵まれたことだということがそこに語られています。

羨ましい限りですが、師の師、レフ・ナウモフ氏には私自身も数日間、ミラノ郊外のヴィラ・メディチの講習会でお世話になったことがありました。
ペト先生からの紹介で日本からの受講生へのドイツ語の通訳のお仕事という名目でいながら、しっかり私自身もレッスンもしていただき、ナウモフ夫妻と散歩したり食事をしたり、師に感謝の数日でした。
バッハの長大なフーガにストラヴィンスキーのペトルーシュカと、藁をも掴む想いにロシアの名匠の一挙手一投足が甘露のように染み込んできたのを思い出します。
その後とあるコンクールへの推薦状をもう1通必要ということになったとき、ペト先生がナウモフ氏に頼んで下さり、いただいたロシア語の直筆の書面はオリジナルの方を大切にとってあります。

平日夜ですが、皆様にお会いできるのを楽しみにしております。

Pianist 寿明義和 Yoshikazu Jumei

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